日本国技である大相撲において、最高峰の番付の一つである「大関」の地位は、実力と人気を兼ね備えた力士だけに与えられる栄誉です。しかし、土俵上の熱戦の裏側で、大関たちが手にする給料や報酬システム、そして横綱や他の階級との待遇の違いについては、一般のファンから数多くの疑問が寄せられています。
本記事では、大関の給料や年収はいくらなのかという疑問に対し、月給、ボーナス、支度金、懸賞金などの報酬システムを網羅し、歴代力士の待遇の仕組みまで、大相撲の知られざる懐事情をわかりやすく解説します。
大関の給料・年収の実態:月給と階級別報酬の仕組み

大相撲の力士は、日本相撲協会の規定に基づき、地位(番付)によって給与体系が厳格に定められています。その中でも「幕内力士」と呼ばれる上位階級に昇進すると、いわゆる「お相撲さんの給料」とも言える月給が発生します。
幕内力士は「日本相撲協会寄附行為施行細則」などにおいて給与額が規定されており、平幕、小結、関脇、大関、横綱の順に基本給が跳ね上がります。大関の月給は、横綱に次ぐ高水準に設定されており、毎月安定した固定給が支給されます。
具体的な金額ベースで見ると、幕下以下の力士(給与が出ない育成期間)とは異なり、関取(十両以上)に昇進した時点ですでにプロとしての高額な月給が保証されますが、大関ともなればその額は社会人のトップクラスを大きく凌駕するものとなります。ただし、相撲界の報酬は基本給だけでなく、本場所ごとの成果に応じた手当が大きく影響するため、年収ベースでは月給の数倍に達すること珍しくありません。
ボーナス・褒賞金・支度金:大関が手にする多彩なインセンティブ
大関の収入の柱は月給だけではありません。大相撲の報酬システムにおいて特筆すべきは、年に数回支給される賞与や、個人の成績に直結するインセンティブの数々です。
最初に、賞与(ボーナス)に相当するものとして、本場所の成績や協会の業績等に連動した支給が行われます。加えて、大相撲ならではの「褒賞金(ほうしょうきん)」制度があります。これは、これまでの通算勝ち星や優勝回数、三賞の受賞歴などに応じて持ち給金が加算され、年6場所の終了ごとに現金として支給される仕組みです。大関にまで昇進する力士は長年にわたり勝ち星を積み重ねているため、この褒賞金の単価も非常に高くなっています。
また、新大関に昇進した際には、協会や後援会などからまとまった額の「支度金」が贈られます。これは化粧まわりや格式ある着物、その他の生活必需品を揃えるための費用として活用されます。加えて、毎日の取組で企業や個人からかけられる「懸賞金」も大きな魅力です。大関の取組は注目度が高いため懸賞の本数も多く、勝利した際には国技館の土俵上で直接、あるいは控室で現金が手渡される仕組みになっています。
横綱との給料・待遇の違いを徹底比較
大相撲の頂点に君臨する「横綱」と、その直下に位置する「大関」。この両者の間には、格式だけでなく給与や待遇面でもいくつかの違いが存在します。
横綱は「力士の模範」とされ、日本相撲協会における最高位であるため、月給や手当の額面は大関よりもさらに一段高く設定されています。また、横綱だけに許される特権として、独自の土俵入りを行う際の「太刀持ち」「露払い」を従えるための配慮や、生活面でのサポート体制の手厚さにも差があります。
以下の比較表で、横綱と大関、そして平幕力士の報酬や待遇の主な違いを整理します。
| 番付・階級 | 月給の基準 | 賞与・褒賞金・手当 | その他の主な待遇・特徴 |
|---|---|---|---|
| 横綱 | 最高水準(全番付中トップ) | 最高ランクの褒賞金・手当が適用 | 横綱土俵入り、最高位としての圧倒的ステータスと手厚いサポート |
| 大関 | 横綱に次ぐ高水準 | 高単価の褒賞金、多数の懸賞金獲得チャンス | 大関昇進時の多額の支度金、将来の横綱候補としての特別待遇 |
| 平幕 | 標準的な関取給与 | 個人の勝ち星に応じた褒賞金 | 幕内としての基本的な給与・懸賞金の受給 |
このように、大関も横綱に匹敵する極めて高い待遇を受けていますが、横綱が「降格がなく現役引退まで地位が保障される(ただし成績不振の場合は引退勧告がある)」のに対し、大関は「2場所連続負け越し」で陥落するという厳しい降格制度があるため、プレッシャーと待遇維持の難易度は大関の方が精神的に過酷である側面もあります。
引退金・退職金と維持員制度:土俵を去ったあとの懐事情
現役生活を終えたあとの「セカンドキャリア」や退職金の仕組みも、大相撲の懐事情を語る上で欠かせない要素です。大関という高い地位まで上り詰めた力士には、引退時およびその後の生活においても手厚い保障が用意されています。
力士が引退する際には、これまでの功績や在位期間に応じた「退職金(引退金)」が支給されます。加えて、両国国技館などで開催される「断髪式(引退相撲)」の興行収入が大きな財源となります。大関クラスともなれば、多くのファンや関係者が集まる大規模な断髪式が開催されるため、引退後の新たな生活資金として非常に大きな額を手にするケースが一般的です。
また、日本相撲協会の年寄(親方)として残る資格を得ることも、大関経験者の大きな特権です。「一所懸命相撲に打ち込み、大関まで昇進した者には、一代年寄や名跡襲名の道が開かれやすい」という伝統があり、引退後も相撲界に残って後進の指導にあたりながら安定した収入を得ることができます。加えて、相撲界の運営を支える「維持員」制度や各種関連ポストとの関わりも含め、大関という称号の価値は引退後も長く維持される仕組みとなっています。
歴代大関の給料事情と時代による変遷
大関の給料や報酬のシステムは、時代の移り変わりや日本経済の動向、相撲人気の高まりとともに変化してきました。昭和の高度経済成長期から平成、そして現在の令和に至るまで、大相撲を取り巻くマネーの動きは常に進化しています。
かつては「支度金」や「懸賞金」の存在が今ほどクローズアップされておらず、基本給や地方場所の手当が中心でしたが、テレビ放送の普及や企業のスポンサーシップ、国際的な注目度の高まりによって、懸賞の本数は年々増加傾向にあります。特に昭和の名大関や平成の強豪大関たちが土俵を沸かせた時代には、取組にかかる懸賞の数が爆発的に増え、取組の勝敗が力士の懐にダイレクトに反映される構造が強化されました。
2026年現在においても、物価高やエンタメ業界全体の収益構造の変化に対応しつつ、相撲協会は力士の処遇改善や安全管理、セカンドキャリア支援に力を入れています。大関という地位が持つ経済的な魅力は、いつの時代も若い力士たちにとっての強烈なモチベーションであり続けています。
【大関の給料】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:大関の年収はだいたいどれくらいの金額になりますか?
A1:大関の年収は、月給に加えて年2回の賞与、年6場所分の褒賞金、そして獲得した懸賞金の総額によって大きく変動するため一概には言えませんが、数千万円規模(場合によってはそれ以上)に達すると推測されています。特に懸賞金の数や本場所での勝ち星数によって個人差が生じます。
Q2:大関から平幕や十両に落ちた場合、給料はどうなりますか?
A2:大関の地位から陥落した場合(いわゆる「カド番」で負け越した場合など)、関脇や小結、あるいは平幕へと番付が下がります。それに伴い、支給される月給や手当の基準も新しい番付の規定に準じた額へと変更されます。
Q3:懸賞金はすべて大関本人の手元に入るのですか?
A3:懸賞金は1本あたり一定の金額が設定されていますが、その中から手数料や税金、所属する部屋の経費などが差し引かれる仕組みになっています。残りの大部分が力士本人(または預かり金として管理)の収入となります。
まとめ:大関の報酬システムから見える大相撲のプロフェッショナルな実態
本記事では、大関の給料や年収の仕組み、月給、ボーナス、支度金、懸賞金の内訳、そして横綱との違いや引退後の待遇まで詳しく解説してきました。
大関の給料は単なる固定給の枠を超え、日々の鍛錬や本場所での勝利、そしてファンの支持がそのまま反映される極めてダイナミックな報酬システムによって支えられています。横綱とのわずかな格差はあるものの、その待遇の厚さは日本の伝統文化を背負うプロアスリートとしての価値を証明するものです。
今後も大相撲の土俵で繰り広げられる熱戦とともに、力士たちの知られざる懐事情や報酬の仕組みに注目することで、観戦の楽しみがより一層深まることでしょう。