英語表現「take it for granted」は、日常会話からビジネスシーンまで非常に幅広い文脈で使われる定番のイディオムです。しかし、「なんとなく聞いたことはあるけれど、正確なニュアンスや使い分けに自信がない」という方も少なくありません。日本語の「当然と思う」や「ありがたみがわからない」といった感覚に非常に近いフレーズですが、文脈によってポジティブにもネガティブにも変化するため、正しい使い方を押さえておくことが大切です。
本記事では、「take it for granted」の基本的な意味やニュアンス、ビジネス英語での活用法、具体的な例文、さらには「当然と思う」「ありがたみがわからない」を表す関連表現まで、日本の読者に向けて分かりやすく徹底的に解説します。
英語表現「take it for granted」の基本的な意味と構造

「take it for granted」という英語表現を正確に理解するためには、まずその文法的な構造と直訳的なニュアンスを知ることが近道です。動詞の「take(受け取る・みなす)」、代名詞の「it(それ)」、そして「for granted(当然のこととして)」が組み合わさることで、「ある物事や状況を、調査や確認もなく『あって当然のもの』として扱う」という意味を形成します。
日本語に訳す際には、文脈に応じていくつかの表現に置き換えられます。大きく分けると、「〜を当然のことと思う」「ありがたみがわからない(失って初めて気づく)」というニュアンスが代表的です。例えば、毎日当たり前のように水道から水が出る状況や、家族が健康でそばにいてくれる日常に対して、何の疑いも疑問も抱かずに「あって当然」と捉えている状態がまさにこれに該当します。
また、この表現は感情的なニュアンスだけでなく、論理的な前提条件を表す際にも使われます。「〜を既定の事実とみなす」「〜を確実なものとして織り込む」という意味合いです。このように、日常の人間関係からビジネスの交渉まで、非常に汎用性の高いフレーズとして定着しています。
日常会話における使い方と具体的な例文
日常会話において「take it for granted」は、身近にある大切なものや恵まれた環境に対して感謝を忘れてしまっている状況や、相手の親切を「当然の権利」のように甘えてしまう場面でよく使われます。ここでは、シチュエーションごとの具体的な例文を見ていきます。
1. 身近な人への感謝の欠如を表す場合
家族やパートナーのサポートを当たり前だと感じ、お礼を言わなくなっているようなケースです。
例文:We tend to take our family for granted until we lose them.
(私たちは家族を失うまで、その存在がどれほどありがたいか当然のものとして見過ごしてしまいがちだ。)
2. 恵まれた環境や日常を当然と思う場合
平和な日常や健康、ライフラインなどが揃っていることを深く考えないケースです。
例文:You should not take peace and health for granted.
(平和や健康を当たり前のこととして当然のように思ってはいけない。)
3. 相手の親切に甘えてしまう場合
友人の厚意を当たり前と受け止めてしまうニュアンスです。
例文:She took his kindness for granted, and never even thanked him.
(彼女は彼の優しさを当然のものと思い込み、一度もお礼を言わなかった。)
| 使用シーン | 日本語のニュアンス | 英語の主な例文・フレーズ |
|---|---|---|
| 人間関係・家族 | ありがたみがわからない、当然と思う | Don't take your loved ones for granted. |
| 日常環境・健康 | 恵まれた状況を当たり前と捉える | Health is often taken for granted. |
| ビジネス・前提 | 〜を既定の事実・当然の条件とみなす | We cannot take success for granted. |
ビジネスシーンでの活用法と「take it for granted that...」構文
ビジネスシーンにおいて「take it for granted」は、単なる「ありがたみの欠如」という意味を超えて、「〜ということを当然の前提とする」「〜を確実視する」という論理的な意味合いで頻繁に用いられます。特に「take it for granted that 主語 動詞」の構文は、プロジェクトの計画立案や契約交渉の場で非常に役立ちます。
ビジネス英語では、物事を楽観視しすぎて「うまくいって当然だと思い込む」ことへの戒めとしても使われます。「油断大敵である」「過信してはならない」という文脈で覚えておくと、会議やプレゼンテーションでの表現力が一段と高まります。
ビジネスで使える実践的な例文:
1. 成果や成功を過信しない場合
例文:We cannot take our market leadership for granted in this competitive industry.
(この競争の激しい業界において、我々の市場リーダーシップが当然維持できると思い込んではならない。)
2. 「〜を当然のこととみなす・前提とする」構文
例文:I took it for granted that the contract would be renewed automatically.
(私は契約が自動的に更新されるものだと勝手に思い込んでいた[当然視していた]。)
3. 事前の合意や前提条件について
例文:Let's not take anything for granted and review all the project details.
(何一つ当然の前提とせず、プロジェクトの詳細をすべて見直そう。)
「当然と思う」「ありがたみがわからない」を表す類似・関連表現
「take it for granted」のニュアンスをさらに深く理解するために、同じような感情や状態を表す英語の類似表現を確認しておきましょう。状況や度合いに応じて使い分けることで、より豊かなコミュニケーションが可能になります。
1. assume(〜と思い込む・当然とする)
客観的な根拠なしに「〜に違いない」「そうであるはずだ」と思い込む動詞です。「take it for granted」よりも日常的かつカジュアルに、思考の前提を指す場合によく使われます。
例文:Never assume that things will always go smoothly.
(物事が常に順調に進むと勝手に思い込んではいけない。)
2. fail to appreciate(ありがたみがわからない・感謝できない)
「appreciate」には「感謝する」「良さを認める」という意味があり、「fail to〜」と組み合わせることで「ありがたみに気づけない」という状態をストレートに表現できます。
例文:People often fail to appreciate what they have until it's gone.
(人は、自分が持っているものの価値が、失われるまでわからないことが多い。)
3. take as a given(既定の事実として受け止める)
議論や計画の出発点として、「それを疑う余地のない事実・前提条件とする」という意味合いでビジネスやアカデミックな場面で好まれます。
例文:We should not take his cooperation as a given.
(彼の協力を最初から当然の前提として当てにしてはならない。)
よくある誤用とネイティブが違和感を覚えるポイント
「take it for granted」を使用する際、日本人が陥りやすい誤用や、ネイティブスピーカーが違和感を覚えるポイントがいくつか存在します。正しい文法とニュアンスで使いこなすための注意点を整理します。
最も多い間違いの一つが、目的語の「it」を忘れてしまうケースです。「take for granted」と直接名詞を繋げてしまうミスが見られますが、正しい形は必ず「take [何か/it] for granted」となります。「it」は直前の状況や、「that節」の内容を指し示す重要な役割を持っています。
また、ポジティブな意味での「当然の権利として受け取る」という文脈でも注意が必要です。例えば、人から受けた親切に対して「当然だ」という態度を取ることは、英語圏の文化においても傲慢な印象を与えかねません。そのため、「don't take it for granted(当たり前だと思わないで、感謝しなさい)」という戒めの表現として使われることが多い点も意識しておきましょう。
【take it for granted】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:「take it for granted」の「granted」にはどのような意味がありますか?
A1:ここでの「granted」は、「承認されたこと」「与えられた事実」といった名詞的なニュアンス(過去分詞の形容詞的用法)を持ちます。「for granted」で「当然のこととして」「疑いなく」という意味の熟語を形成しています。
Q2:ビジネスメールやフォーマルな文書でも使えますか?
A2:使われますが、フォーマルな文書では「take it for granted」よりも「assume」や「take as a given」などの表現の方がよりプロフェッショナルで硬い印象を与えるため好まれる場合があります。
Q3:「take it for granted that」の後ろにはどのような文が続きますか?
A3:主に「that」の後に「主語+動詞」の完全な文が続き、「〜ということを当然の前提とする」「〜と当然思い込んでいる」という内容を具体的に説明する形になります。
まとめ:状況に応じた正しいニュアンスで表現を使いこなそう
ここまで、「take it for granted」の基本的な意味や文法構造、日常会話からビジネスシーンにおける具体的な使い方、さらには類似表現や注意点まで詳しく解説してきました。
この表現は、身近にあるものや人への感謝を忘れてしまう「ありがたみがわからない」という心理状態を表す際にも、プロジェクトや契約における「当然の前提条件とする」という論理的な場面においても、非常に強力なフレーズです。直訳的な暗記にとどまらず、実際のシチュエーションや前後の文脈を意識しながら活用することで、英語のコミュニケーション能力をさらに高めていきましょう。